古書会館の古書展の初日へは、ほとんど行ったことがない。行かないようにしている。その混雑ぶりが目に見えているからだ。混雑しているだけならまだしも、ほとんどの人間が本以外は目に入っていない。そういう場であることが分かっていてわざわざ行く必要もないだろうと思って、行かないようにしている。
でも、そうして二日目に行くということは、そういう人たちに漁られたあとの棚を見ているということで、もしかしたら俺が欲しい本がそういう人たちに持っていかれているのではと思うと、なんだか腹立たしくなってきて、昼間から原付で神保町へ出かけたのだ。
土曜日でもほとんどの人は本しか目に入っていないが、金曜ともなるとより一層本しか目に入っていない。そりゃあなたの順路は右から左かもしれないけど、そういう人ばかりじゃないだろう。それに、これだけ人がいるんだから、べつに右から左に順序よく見ていけるわけがないだろう。誰も見てない棚を先に見りゃいいじゃん。なんで人が見ている前に出てこれるのだろう。俺、そんなにじっくり見ているわけじゃないぜ。
おっさんに舌打ちされたので思わずし返してしまったが、これは少し悪いことをしたかもしれない。