現世で向井さんと少し話していたときに、なぜ第三の新人を読むようになったのかと尋ねられた。文学の世界にも古書業界にも明るくない俺は知らなかったけど、じわじわと第三の新人がキているようだ。安岡とか遠藤周作とか、昔はほとんど値がつかなかったものが、少しだけ値がつくようになってきたのだという。
俺が第三の新人に興味を持ったきっかけは『SPA!』の対談だから、あくまで突発的なものだ。坪内さんは今までにも何度か安岡のエッセイの話をしていたのだけど、その対談を読んだ直後の五反田で、ナナイロ文庫の棚に安岡のエッセイがずらっと並んでいて、安くはなかったけどふと手にとってみたら面白くって、そこからその周辺をぼちぼちと読むようになった。