『週刊SPA!』3月7日号

扶桑社発行
・対談

坪内 去年、平成17年は「戦後60年」だったけど、60年、70年前というのは、まだギリギリで同時代性を感じられる過去ですよね。実は二・二六事件って、明治維新から70年後くらいで、つまり、いまオレたちが二・二六を見るのと同じ感覚で、明治維新を感じていたんだよね。
福田 そうですね。ということは、明治維新に対する「同時代的記憶」とか連帯感とか感受性がまだあって、「維新」=世の中を変えるということに、リアリティを持っていたと。

青年将校たちが明治維新にどこまで同時代性を感じていたのかは分からないが、彼らにとっての70年前と、僕らにとっての70年前というのは、まったく違う質感を持っていたのではないだろうか。僕ら、なんて主語を使っちゃダメだね。1982年生まれの、僕にとって。
1958年生まれのツボウチさんや1960年生まれの福田さんにとって、二・二六は、どこまで同時代性を感じられる事件なのだろう。
ところで、ツボウチさんは「ハイカラ」「昭和モダニズム」ということばを使っているけど、そういうことについて、もっと書いて欲しい、と、読まれないだろうということが分かっているから、書いてみる。